なぜ堤防は土でできているのか?

はじめに

人と河川は古くから切っても切れない関係にあり、文明を発達させるため河川堤防の技術を発展させてきました。

河川堤防とは

計画高水位に対して必要な高さと断面を有し、さらに必要に応じ護岸等を施したもの

近年は土木技術の発達により自然災害の被害は抑えられているものの、被害を完全にはなくすことができていません。

最近では豪雨災害や河川氾濫の被害が目立っていますが、みなさんは「なぜ堤防は土でできている?」「全部コンクリートとかアスファルトにすれば?」と思ったことはありませんか?

過去に起こった西日本豪雨災害や令和元年台風19号などはいずれも河川堤防の決壊が起きているため、そう考えられている方も少なくないでしょう。

結論から言うと「河川管理施設等構造令」では河川堤防は土砂による土堤を原則としているため、土の材料を用いることが最適であるとされています。

その理由を3つの項目に分けて説明していきます。

なぜ土が材料なのか?

理由1 安価で手に入りやすい

専門的な言葉を使うと経済的な材料であるからです。

河川堤防を作る場合の多くは現場の近くや、河川の流加能力を上げるための掘削により出た土砂から材料を調達します。

その場で採取した材料を用いるため安価で調達することができ、環境の負担も少ないと言えます。

もちろんそのまま使うわけではなく、河川堤防に用いる土質材料の条件を満たしているかどうかを判断して用います。

なお、コンクリートは骨材(石や砂)を含む混合物であるため形成するために時間と費用が掛かるほか、材料の単価が高いため堤防の堤体(堤防の本体)そのものでなく、保護に用いられます。

理由2 壊れたときでも直しやすい

2つ目の理由は壊れたときでも直しやすいという点です。

土の材料として最も特徴的であるのは、盛土・切土(土砂を盛ったり、削ったりすること)や締固め(土砂を密にすること)を通して形成し、強度や性質を持たせることができる点です。

河川堤防は河川が増水し、越流(堤防を水がこえること)・破堤(堤防がこわれること)などにより堤防の土砂が流れ出る形で決壊します。

その後、堤防の復旧工事では、もとの連続した堤防の一部に堤防を作り直す・作り変えることから、土砂の持つ特性を発揮することができます。

理由3 これまで土の材料が使われてきたから

3つ目の理由は日本の河川整備が土という材料で行われてきた背景があります。

日本は過去の歴史から河川の氾濫に悩まされてきましたが、洪水による災害が発生するたびに築堤技術が進歩していきました。

また、古くから洪水・氾濫の多かった河川では、その河川の特徴をとらえた堤防が形成されており、技術の継承された形で今の河川整備が行われているといえます。

現代では過去の堤防を生かした形で堤防をつくることもあり、材料と材料の親和性が高いと言えるため、堤防の材料は土がよいと考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

土木構造物としての機能を経済性や施工性の面から堤防の材料は土砂が用いられてきましたが、その反面には欠点もいくつか存在します。

洪水災害と生活は切っても切れない関係であるため、今後も土木構造物に理解を深めていく必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。