今回は、先週まとめた景観把握モデルと一緒に考える「景観の種類」についてまとめていきます。
前回の記事
先週の記事の続きはこちら。

前回は、景観を把握するためのモデルについて扱いました。
景観把握モデルは、篠原修によって提唱された「視野に入ってくる要素の関係性を把握するためのモデル」です。 景観把握モデルで重要な3つの言葉 ・視点 ・視点場 ・視対象
今回は、この景観把握モデルと一緒に考える必要がある景観の種類についてまとめていきます。
景観の種類
景観は主に「何を眺めるか」と「どのように眺めるか」の2種類に分類できます。
今回は、後者を扱います。
図:シーン景観とシークエンス景観(「とちぎ国道 道路景観マスタープラン」国土交通省宇都宮国道事務所)
シーン景観
静止した状態(視点)からの眺めをシーン景観と呼びます。
一般的に、写真などは静止画として、その景観における構図や印象を認識しています。
シークエンス景観
シークエンス景観は、シーン景観とは異なり、
連続的な視点の移動により連続的に変化していく眺めのことで「ひとつながりのイメージ」として認識されます。
このシーン景観とシークエンス景観から分かることは、どちらも時間軸を伴っているということです。
つまり、ただ静止画の景観を考えるだけでなく、
実際に街の中を歩いたり、時間経過を捉えた景観(眺め)を考える必要があります。
場の景観
ある場所を連想した時に、その場所と繋がりがあるシーン景観やシークエンス景観を同時に連想することがあります。
例えば、ある駅を思い浮かべた時に同時に、駅前の銅像や駅に近い商店街の並びなどを思い浮かべることがあるかと思います。
このようにひとまとまりの領域として認識される眺めの集合のことを「場の景観」と呼びます。
変遷景観
シーン景観とシークエンス景観から分かるように、眺めには時間を伴います。
街の変化のように、長い時間の中で眺めの変化を考える時、これを変遷景観と呼びます。
この変遷景観を考える時に、できるやり方として
「HLC(Historic Landscape Characterisation)」があります。これはまた別の記事でまとめます。
内部景観と外部景観
今までの景観とはまた別で、「内部景観」と「外部景観」があります。
ここまでをまとめると、
景観には時間を伴う。景観は
「視点が移動するかしないか」
「視点がその構造物の内部にあるか外部にあるか」
で分類ができます。
さらに、ある領域で眺めの集合として捉えることもできる。
ということがわかります。
このようなことを意識して、景観を分類していくと、全く違う景観でも似ている景観があったり、眺めている時に何を感じているのかなどを深く考えることにつながります。