緊急地震速報の仕組み~地震波の性質の利用~

ドボク大学の川﨑です。

最近、関東地方で地震が発生したというニュースをよく見かけます。そこで活躍しているのが地震が発生したことを知らせてくれる「緊急地震速報」ですが、どのような仕組みで知らせてくれているのでしょうか。地震波の性質からその仕組みを見ていきましょう。

地震波の性質

お風呂のお湯や川の水に水滴を垂らすと、水滴がたらされた点を中心とした同心円状に波紋(水面の揺れ)として波が伝わっていくのを見たことがありますよね。

これと同じように、地震が起こると震源から地震波という波が地球内部を伝わっていきます。そして、地上にある建物や電信柱などの構造物が地震波によって揺れているのを見たり、地面からの揺れを直接感じ取ることで、私たちは地震による揺れを感じ取っています。

地震波の種類

地震波には、P波とS波の2種類あります。

この図は、ある地点の上下動記録です。左から右に時間が移り変わっています。

P波(Primary Wave)

地震発生後、最初に伝わる波のことです。速さ5~7km/sで、揺れは小さいことが特徴です。地震発生後から、最初に観測されることから初期微動と呼ばれています。

S波(Secondary Wave)

地震発生後、P波の後に伝わる波のことです。速さは3~4km/sでP波より遅く、揺れは大きいことが特徴です。発生した地震の揺れの大きな部分で、主要動と呼ばれています。

地震が発生したとき、P波が先にやってきた後にS波がやってきます。少し揺れたあと、大きな揺れが来る体験をされた人も多いと思いますが、原因は2種類の地震波によるものだったのです。

ここからは、少しおまけです。

表面波
S波の後に地球表面を伝わって観測点に到着する周期が長い波のこと

地震波であるP波とS波とは少し違い、地球の表面を伝わってくことが特徴です。

緊急地震速報の仕組み

P波とS波の速度の違いを利用したのが現在普及している「緊急地震速報」です。

緊急地震速報
震源付近のP波の情報で地震の発生時間・位置(震源)・大きさ(マグニチュード)を即時に決定し、震源からの距離とマグニチュードからの各点の震度を推定するシステムのこと。

したがって、震源から十分に離れている地点では、S波が到達する前に緊急地震速報で知らせることができます。大きな揺れ(S波)がくる前に情報を入手できれば、揺れに備えることができます。

震源に近いとS波はすぐ来てしまいます。しかし数秒でも余裕があれば、机の下に潜るなどの身を守る行為はできると思います。それだけでも、十分危険を回避することができるはずです。緊急地震速報は多くの命を地震の揺れによる危険から救っているのです。

震源の決定

緊急地震速報では、震源の位置もお知らせしてくれます。その仕組みについて紹介します。

前提として必要な知識

震源の決定方法の解説の前に、知っておいていただきたい用語があるので、順に紹介していきます。

点Aは、観測者(人間)がいる点とします。

地震による断層のずれは、断層上のある一点から始まります。この開始点(C点)を震源といい、その真上の地上部分(B点)を震央といいます。

また、震源から観測点までの距離(AC)を震源距離、震央から観測点までの距離(AB)を震央距離といいます。

P波とS波の観測点に到着する時刻の差を初期微動継続時間といいます。

震源の決定方法

震源距離は以下のように定義されています。

震源距離
D=kT(km)

D:震源距離、k:比例定数、T:初期微動継続時間

この公式は、大森公式と呼ばれています。比例定数であるkは地震波の速度によって決まられ、地域によって異なるそうです。日本では、6~8km/sとされています。

つまり、初期微動継続時間がわかると震源のだいたいの位置を決定することができます。厳密には、3つの観測点での初期微動継続時間がわからないと正確な震源の位置は決められないそうです。

しかし最近は、コンピューターの性能の向上により1つの観測点でも十分な精度があるそうです。

参考文献は以下の通りです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。