今回は、景観工学の景観の予測方法についていくつか紹介していきたいと思います。
景観の影響予測とは?
景観の影響予測とは、景観整備や開発計画によって景観特性がどう変化するか、また、周囲から見て新しい構造物などにより眺望が妨げられるかどうかなど影響の程度を予測することです。
景観の影響を予測するための方法があるので、紹介していきます。
予測方法の種類
予測方法とそれぞれの長所と短所を紹介していきます。
正投影図法
図面を用いた完成予想図による方法。
長所
設計資料をそのまま用いることができて、操作性もよく、諸条件を定量的に判断できる。
短所
知覚的でなく、立体的把握が難しく、現実性がない。
スケッチ・絵画法
個々の設計のイメージを概略的に把握するラフ・スケッチ、デザイン比較案を簡単な添景とともにイメージ化したスケッチの上に淡く彩色する淡彩スケッチ、デザイン比較案を周辺の景観とともに詳細にカラーで描くカラーリングパースの3種類がある。
長所
手軽に処理できて操作性がよく、設計者の強調したい点やイメージなどを伝えやすい。
短所
正確性および定量性に欠ける欠点があり、設計者の主観が入りやすく、現実性に乏しいことがある。
透視図による方法
有限の距離にある一つの視点と、物体各点とを結びつける放射線によって描き表した透視図による方法です。
長所
異なる視点に合わせた作図ができるうえに、視覚性がよく知覚的に判断できる。
短所
手間がかかり、主観が入りやすく、自然条件まで入らない。
模型法
景観整備や開発計画事業の計画段階で、作られる地形の模型を利用して、構造物や地形などを模型材料により現実に相似な3次元模型として表現する。
長所
立体的な把握と検討が可能で、視覚性がよく、視覚的・直感的に判断ができる。
短所
実物を見る場合や写真を撮る場合と同じく視点の位置の設定(表示、プレゼンテーション)が難しい。
フォトモンタージュ写真法
景観整備や開発計画の現況の写真に新しい景観資源の絵や完成予定の構造物と周辺の造形部分の絵を合成したモンタージュ写真を作成し、現況の写真と比較する方法です。
長所
視覚性・現実性がよく、実態感・臨場感をよく表現できる。周囲の風景を組み入れられるので、実物に近い色彩が表現できる。
短所
仮想の視点の設定が不可能で、特殊な設備や技術が必要になる。
カラーシミュレーター法
景観の中の色彩や材質を、写真内に映し込まれた要素を光学的に処理するなどして変換し、検討する方法です。
長所
画面の任意の部分についてカラーシミュレートできることから、視覚性・現実性・操作性がよく、色彩の詳細な検討が可能。
短所
フォトモンタージュよりもさらにさらに特殊な設備や技術を要する。
ビデオ映像法
ビデオによって合成する方法です。
長所
モンタージュがが比較的に容易で、視野が連続的に変化する動景観も扱うことができる。
短所
写真に比べて装置が高価で、色彩の質が落ち、画質もやや劣る。
画像処理(CG:コンピューターグラフィックス)法
地形や構造物などの標高や位置などの3次元のデータをコンピューターに入力し、数値地形モデルの3次元投影法により、画像処理した透視図による方法です。
長所
操作性がよく、新しい景観資源や対処の位置や形態などを自由に変化させたり、眺望地点を自由にに変えることができる。比較検討しやすく、高速処理により試行が容易で操作性と定量性に優れている。
短所
データの作成に手間がかかり、きめ細かい表現が不可能である。
これらの景観予測方法は、都市計画で利用されています。
