こんにちは、ドボク大学編集室です。
今回は「業界と学生を繋ぐ、ドボクのバトン」の第一弾ということで島根県松江市の株式会社藤井基礎設計事務所の藤井俊逸様にインタビューしてきました。
藤井 俊逸 様
藤井様はドボク模型による土木の普及活動をされています。今回は、その活動や経緯、今後の取り組みについて聞いてきました。
分量が多いため、前後編に分けさせていただきます。
目次
ドボク模型を使ってどのような取り組みをされてきたのですか?
藤井さん
地元説明会
地元説明会では、住民の皆さんに工事の概要を説明します。地域住民と土木関係者が話す貴重な機会なので、一般の人にもわかるように説明することが大切になります。図面だけだと伝わりにくいので、ドボク模型を使ってドボクを伝える活動を広めてきました。
防災学習会
地域の人が土砂災害などから安全に逃げられる仕組みはとても大切なので、防災学習会を行っています。その中で、土木にかかわる人が道路や宅地を壊れにくくするために、法枠やアンカー工などを用いて安全性を高めていることを伝えます。その効果をドボク模型で説明し、理解してもらっています。
イベント
ドボクの日のイベントでドボク模型をレンタルして活用してもらうことがあります。土木学会が開催した土木コレクションやドボクふれあいフェスタでは、一般の人に対してドボク模型を使って説明しました。ショッピングモールなどでイベントを行うと、土木に関心がない人にも土木の面白さを伝えることができます。しかし、今年はコロナ禍で例年のようには実施できていないのが現状です。
学校授業
学校では、防災の授業として小中学生や高校生や大学生を相手にお話する機会があります。土木を専攻している島根大学や松江高専の学生に、土木のことを模型を使って授業することもあります。計算式のもとになる理屈を視覚的に理解することができます。実務をする際にこの感覚はとても大切です。
企業研修
企業研修、特に新人研修にドボク模型が使われることがあります。専門的な知識の少ない新人社員でも直観的に理解できるので、重宝されます。さらに、それらを用いてプレゼンしてもらうことによって、チームワークや土木の知識を養うことができます。理解するだけではなく、自ら説明することが大切だと考えています。
工法説明
土木工法や資材のメーカーが、自分たち独自の工法について説明する際に、ドボク模型を使うことが多くなりました。発注者や建設コンサルタントに製品や工法の特徴を的確に伝えることができます。
理科教育・教育テレビコンテンツ
ドボク模型は、土木の中の科学を表現しています。子どもたちへの理科教育としても効果があります。また、教育テレビ「学ぼう防災」では、先生役でビデオに出演しました。災害の発生には、地質や地下水が関わっていることが伝わればうれしいです。
ドボク模型を使われ始めたきっかけを教えてください。
ドボク模型を使い始めたきっかけは何ですか?
藤井さん
建設コンサルタントでは、発注者や工事業者に説明して理解してもらうことが大切です。私の入社当時は経験者の言うことは聞くけど、若手の言うことは聞いてもらえないことがありました。聞いてもらえないことが悔しかったので、ドボク模型を使って説明するようになったのがきっかけです。理解されたかどうかはわからないですが、自分の熱意は伝わったと思っています。
インタビュアー
最初に作られた模型は何の模型ですか?
藤井さん
最初は、地すべり防止杭という杭の模型を作りました。3種類ある杭の設計方法のうちどれを使うのがよいかを説明するために模型を使ってみました。
いつ頃から模型を使った取り組みをされているのですか?
藤井さん
先ほども少し話しましたが、1988年ごろに杭の説明をするときに使ったのが最初です。それ以降毎回ではないですが、ドボク模型を使って説明するようになりました。
そのうち協議の際に、今日は模型ないの?と言われるようになりました。それ以降、協議のときにはドボク模型を使って説明することが多くなりました。そして、現在のような土木の普及活動へつながりました。
ドボク模型を使った活動の今後の展望について教えてください。
今後、どのような取り組みをしていこうと考えておられますか。
藤井さん
建設業の人に、一般の人に伝える楽しみを味わってもらいたい。
建設業に関わる人に、一般の人に伝える楽しみを味わってもらいたいです。そのために、日経コンストラクション「ドボク模型プレゼン講座」やFacebookのようなSNSで発信することで、より多くの人にドボク模型の存在を知ってもらう活動を行っています。
自分の関わる設計や工事を模型で形にして、作る楽しみを知って欲しいです。最初の一歩が、なかなか踏み出せない人が多いです。しかし一度、自分が作った模型で説明して、一般の人とコミュニケーションをとると、楽しくなります。楽しくなると、次も作ってみようとなります。
作ると楽しいですし、その過程における失敗も面白いです。模型なら何回失敗してもかまいませんからね。一般の人、特に子供たちに、土木に興味を持ってもらうきっかけにして欲しいです。
また、子どもたちにトンネル工事やアンカー工事を模型で伝えるととても興味をもってもらえます。子供たちに伝えることが大事です。
野望はありますか?
藤井さん
ドボコンを開催したいと考えています。ドボコンとは、ロボコンの土木版のことです。例えば、土砂災害をテーマにし、模型を使ってわかりやすさ、面白さを競う大会です。大学の土木系の学生や先生には、とても興味を持ってもらえています。
インタビュアー
これは面白そうですね。今後、ドボコン企画について検討させていただきます!ぜひ、開催したいですね。
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